カラン、カラン〜。
「あっ、いらっしゃいませっ!」
簡素で、しかし明るい雰囲気の店内。
そこの、明るい声が私を向かえた。
「え〜・・・と、マニュアル、マニュアルっと」
私は必死に冊子を捲る彼女の目の前に座った。
・・・アルバイトの人だろうか?
「えぇ・・・あった!――お客様は初めてですか?」
「はい―――初めてです」
「では、右手の甲をお見せください」
言われた通り、無言で手の甲を差し出す。
私の手の甲を眼鏡越しに眺めていた店員は、安堵したようにホッと息を吐いたのがわかった。
「・・・SWの人ですか。――じゃぁ、何にいたしますか?」
「レモンティーはありますか?」
「はい!ございますよ!待っててくださいね、今淹れてきます!」
そう言って、店員は長い髪を揺らして、カウンターの奥に消えてしまった。
「・・・いい所ですねぇ」
私の独白は、物静かな店内に響いて、空気に吸収されてなくなった。
「今度、ロスティアさんでも誘いましょうか」
言うが早いか、頭の中では高速でこのお店の座標を出し、事務所から一番近い道順を計算する。
「はい、お待ちしました〜・・・って、うわ!?」
「ど、どうしたんですか?」
両手にカップを持った店員が、何かに驚いた声を上げ、手に持っていたカップの中身を少し零した。
手にかかったのか、少し熱そうに顔を歪めている。
「・・・い、いや、耳と目が光ってたので、驚いて・・・」
「・・・?私、アンドロイド(機械人形)ですよ?目も耳も光るのは当たり前です」
「・・・は、はぁー。そうなんですか」
なにか曖昧に頷きつつ、店員は私の前に一つ、その少し前にもう一つカップを並べた。
「・・・・あ、淹れなおしますけど?」
少し中身の零れたカップを見て、
「いいですよ。気にしないでください」
私は笑った。
彼女は又も、ホッとしたように笑い、私の前に向かい合って腰を下ろした。
「お客さん、お名前はなんて言うの?」
「私ですか?私は、キュロット・ヴィティアです」
「キュロット・・・ね。あ、私は桜子。一様、ココで働いてるよ」
「桜子さんですね。・・・記録しときます」
お互い、カップに口を付けつつ、互いを遠慮がちに眺める。
「・・・・何ですか?何か顔に付いてます?」
「い、いや、アンドロイドって不思議だな・・・って思って」
「?もしかして、アンドロイドを見るのって初めてですか?」
「ま、まぁ、この仕事を始めて、初めてかな。先輩はわからないけど」
少し、歯切れの悪い返答。・・・私はお客だから、それなりに気を使ってるのかもしれない。
・・・よし、なら。
「じゃぁ、桜子さん。私に自由に質問してくださっていいですよ。何でも答えます!」
パァァと顔を輝かせる桜子さん。
しかし、一度顔を引き締め、控えめに聞いてきた。
「き、・・・機械なの?」
「はい。人に似せて作られた機械ですね」
「材質は?」
「特殊合金繊維で出来ています」
「・・・触っていい?」
「どうぞ」
私の微かな笑みがわかったのか、ペタペタと私の体を触る。
「私とあんまり変わんないね〜」
「はい、皮膚もある程度、金属で出来ていますが、人間と同じくらい柔らかいですよ」
「ぶにゅぅうううー」
「い、いはいです(痛いです)」
ホッペを楽しそうに伸ばす桜子さん。しかし、私だって痛みは感じる。
「あっ、ごめんなさい!」
「・・・あはは、大丈夫です。・・・・・ココっていつもこんな感じなんですか?」
ガランとした店内。いるのは二人だけ。
「ううん。今は午前中だからこんな感じ。夜になると凄いよ」
「・・・そうなんですか」
「あ、今日は私しかいませんが、後3人いるんですよ〜」
カラ〜ン。
お店のベルが鳴り、誰かの来店を告げる。
「は〜い、いらっしゃ―――げっ」
「にゃにゃにゃ。桜子、来てやった――に゛ぎゃ!?」
来店してきた猫みたいな人(?)は音速で駆け寄った桜子さんが蹴り飛ばした。
「え、え!?いいんですか!?」
「いいのよ、あんな馬鹿ネコ!」
「にゃ、にゃ、主人を蹴るとはどんな神経してるのニャ・・・」
「まだいたか、馬鹿アルク・・・」
「にゃぁああ!!――ムム、向こうからSOSサインが!!行かにゃくてはー!!」
ネコみたいな人は、バヒューとジェットで飛んで(?)行ってしまった。
「っち。逃げたか。・・・・っで何の話だっけ?」
「え・・・と、3人いるあたりです」
「あぁ、つまり。今日は私だけなのよ。でも、今度きた時は楽しみにしていてくださいね」
「はい。また来ますね」
「ありがと。・・・で、ごはんとかはどうしてるの?」
「専用のオイルとか飲んでチャージしてます」
「・・・レモンティーなんて飲んでも大丈夫?」
「はい。ある程度のものなら大丈夫です」
「動力源は?」
「・・・ふふふ、秘密です」
「え〜。何でも答えてくれるっていったじゃない!」
「・・・・実は、―――知らないんです」
「え!?何で?」
「・・・シンヤさんがまだ決めてないらしくて」
「あぁ、ネコアルクのお友達で、この喫茶店の表にあるブログの管理人の?」
「・・・そうなんですか?」
「・・・女の子なんだよね?」
「そうですけど?」
「アレ、とかあるの?」
「アレって・・・・・あぁ。私にはありませんよ」
「なんだ。やっぱり、そうなんだ」
「ロスティアさんが毎月、ぼやいてます。"女は面倒だ!"って」
「微妙に同感です。・・・あ!じゃぁ、子供はどうなるの?生めるの?」
「子供は・・・・。私には生めません。そんな機能はついてないので。・・・でも、人工子宮を取り付けることはできますから、生むことは可能だと思います」
「へぇ〜。・・・ねぇ、なにか出来ないの?」
「・・・何かとは?」
「ほら!目から光線とか、指先から機関銃とか!!」
「あはは、私は事務用のアンドロイドですから。出来ませんね」
乾いた笑みを浮かべながら、キュロットは沈んだ。
「あ!ご、ごめん!!キュロット〜。戻ってきて〜」
カラ〜ン。
扉のベルがなって、来店を――
「ちわ〜、元気?」
「・・・・ねぇ、なんて反応すればいい?」
桜子は来店してきた人物を見て、目の前のキュロットに呆れた顔を向けた。
「・・・さぁ。どうすればいいんでしょうか?さすがの私でも、予想外です」
「・・・あの・・・」
「あんたが出てくると、滅茶苦茶になるからダメ。帰れ」
「えっ!?な、なんで!?自分はお客だよ?」
「・・・いや、名前が出る前に帰ったほうがいいです。"謎の人物A"として」
「・・・コーヒー飲みに来ただけだよ?」
「ダメです。シンヤさんは帰ってブログの更新でもしててください」
「・・・う、桜子に苛められる」
「シ、シンヤさん・・・・」
「キュロットはアンドロイドだから下着はスパッツにしたの―――」
ズダダダダダッ!!!!
突如、乱射された機関銃。
キュロットの両腕から硝煙が立ち上り、そこら中に薬莢が転がっていた。
「キ、キュロットさん!?」
「大丈夫です。作者だし」
「え、!?で、でも、ほぼ全弾当たってなかった!?」
「アンドロイドですから」
「キュ、キュロットはつるぺたにしたの―――」
ド、ド、ド、ドカン!!!
「キュ、キュロットさん!!片腕が火炎放射機になってる!?」
「まあ、アンドロイドですから。詳細は作者の怠惰によって更新されて無い"女社長とゆかいな仲間たち"をどうぞ」
「・・・シ、シンヤさん大丈夫かなぁ・・・」
「大丈夫ですよ。作者だし」
「・・・キャラが違わないですか?」
「そんなこと無いですよ〜。パロディーですし」
「そ、そうなんですか?」
「はい」
「キュロットの筋肉を多めにしたのは―――」
スダダダダダ、ドキュン――ドカンッ!!!!
「はい。で、なんでしたっけ?」
「・・・キュロットさん。お店、壊さないでね」
パロディー:女社長とゆかいな仲間たち
シンヤ・レン
もう、グダグダだよ。ぽちっと。